心臓血管センター外科
大動脈瘤治療
大動脈瘤の治療は、開胸や開腹して手術を行う治療法と、創を大きく開けずに足の付け根の血管から血管の中を通して治療する血管内治療の2つがあります。
大動脈瘤に対する血管内治療をステントグラフト内挿術(※)と言い、現在日本では、胸部大動脈ステントグラフト5機種、腹部大動脈ステントグラフト5機種を使用することが出来ます。
※ステントグラフト内挿術について詳しくはこちらをご覧ください。
当院では、胸部・腹部ともに5機種全てのステントグラフトを使用することができ、患者さまの瘤の形状や病因にあったステントグラフトを選択し、治療することが可能です。指導医が常勤する認定施設としてステントグラフト実施基準管理委員会のホームページにも掲載されております。
当院で使用できる【胸部大動脈瘤ステントグラフト】5機種
■ カワスミNajuta
■ GORE TAG Thoracic Endprosthesis
■ Relay Plus
■ VALIANT Captivia
■ Zenith TX2 TAA Endovascular
当院で使用できる【腹部大動脈瘤ステントグラフト】5機種
■ ENDURANTステントグラフトシステム
■ AORFIX AAA ステントグラフトシステム
■ Zenith AAA Endovascular Graft
■ Gore Excluder®Endprosthesis
■ Powerlink® Stentgraft System
動脈塞栓術
通常の大動脈瘤では、瘤の内側にステントグラフトを留置することで瘤に血液が流れないようにします。しかし、動脈瘤自体にも細い動脈が分枝しており、そこからも血液が流れてきてしまうことがあります。そのような場合に、コイルやプラグという塞栓物質を用いて動脈瘤から分枝する太い動脈の枝を塞栓することで、血流を少なくする試みを行っています。当科は血管内治療に精通した医師が手術を行っているため、動脈塞栓術が必要な患者さまには全例でこちらの治療を行っています。
ステントを使用した血管内治療
大動脈瘤の内側にステントグラフトを留置するには瘤の前後に正常な血管が必要で、正常な血管と正常な血管を橋渡しする形でステントグラフトが留置されます。しかし、橋渡しする血管の近くから閉塞させてはいけない動脈が分枝している場合はその動脈への血流を温存してステントグラフトを留置しなければいけません。そのような場合には、分枝している動脈に「ステント」と呼ばれる金属の網を用いて血流を保ちながらステントグラフトを留置し、瘤には血液が流れないようにしつつ、血流が必要な動脈には血流を保つというような手術を行う必要があります。血管内治療が困難に見える患者さまにも血管内治療に精通した医師により血管内治療で手術が可能な場合がございます。
バイアバーンを使用した血管内治療
上記のような場合でステントを使わずに、「バイアバーン」というステントグラフトと同じように周りが膜で覆われている筒で治療を行う場合もあります。こちらも血液の漏れを少なくできる可能性があります。どちらが優れているということはありませんが、どちらも使えるという選択肢を増やせることは患者さまにとって大きなメリットと考え、当科ではバイアバーンを使用する為に必要な施設認定、実施医を取得した医師が治療にあたっています。
大動脈瘤の治療についてご相談・ご質問等ございましたら、心臓血管センター外科へお問い合わせください。なお、外来は完全予約制とさせていただいており、なるべく待ち時間を少なくするよう鋭意努力しておりますが、緊急の症例も極力断らずに対応しておりますので、待ち時間が長くなってしまう場合がございます。ご了承いただけますようお願いいたします。