心臓血管センター外科
下肢静脈瘤治療
下肢静脈瘤の治療は、皮膚を切開して血管を引きずりだすストリッピング手術や、皮膚を切らない血管内治療と呼ばれる高周波ラジオ波焼灼術などがあり、静脈瘤のタイプや患者さまの症状を診て治療の選択をしております。
ストリッピング手術
10年前、下肢静脈瘤の治療は「ストリッピング術」しかなく、全身麻酔下でワイヤーを静脈に通し、そのワイヤーの先に金属の玉を付けて静脈を周辺組織ごと引き抜く「外翻式ストリッピング術(バブコック法)」が行われていました。この方法は周辺組織ごと静脈を引き抜くために、神経障害の発現率が高いのが問題点でした。そこで登場したのが、静脈を内翻させながら引き抜いていく「内翻式ストリッピング術」です。この手術法では麻酔は全身麻酔ではなく、局所麻酔の一つである低用量局所大量麻酔(Tumescent local anesthesia:TLA)で手術が可能となり、入院期間も短く、神経障害などの合併症も減らすことが可能になりました。下記の高周波ラジオ波焼灼術が難しい患者さまには、内翻式ストリッピング術を行うことがあります。
△外翻式ストリッピング術(バブコック方)で使用されるワイヤー
高周波ラジオ波焼灼術
2011年にレーザーによる焼灼術が保険収載され、レーザー治療が可能になり、その後ラジオ波による焼灼術が可能となりました。現在は血管内治療による焼灼手術が一般的になり、ストリッピング手術よりも血管内焼灼術の方が多く行われているのが現状です。
VenaSeal(ベナシール)治療
2019年12月には本邦で新しい手術法である「NBCA(n-butyl-2-cyanoacrylate)」という糊を用いて血管を貼り付けて治療する「VenaSeal」が保険収載されました。この手術法は前述のTLA麻酔すら必要ない手術法で、術後の弾性ストッキングも不要、仕事への復帰も他の治療法より早い傾向があるという特徴があります。当院では2020年3月に導入され、患者さまへの手術がより低侵襲になることを嬉しく思っています。
下肢静脈瘤の治療についてご相談・ご質問等ございましたら、心臓血管センター外科へお問い合わせください。なお、外来は完全予約制とさせていただいております。希望医師の予約枠が埋まっている場合は、他の医師の外来を予約させていただくことがございますので、ご了承いただけますようお願い申し上げます。