心臓血管センター内科
検査内容
心電図検査 24時間ホルター心電図
ABI検査 SPP検査
運動負荷試験(トレッドミル、エルゴメーター) CPX(心肺運動機能検査)
超音波検査
下肢動脈エコー、下肢静脈エコー、頸動脈エコー、腎動脈エコー
CT検査
RI検査
MRI
血管造影検査
A. 狭心症・心筋梗塞
狭心症も心筋梗塞も心臓の筋肉に血液を送る冠動脈の異常で引き起こる病気です。
心筋梗塞は冠動脈が閉塞し、心筋が壊死する病気です。狭心症は冠動脈が狭窄し心筋への血流が減少する病気です(冠動脈が攣縮し、一時的に狭くなる冠攣縮性狭心症もあります)。狭心症のうち不安定狭心症は心筋梗塞と同様に危険な状態です。
冠動脈の狭窄の存在の診断には冠動脈CT、MRI検査やカテーテルによる冠動脈造影検査があります。冠動脈造影検査(カテーテル検査)はカテーテルを挿入する穿刺部位として、手首(橈骨動脈)、肘(上腕動脈)、ももの付け根(大腿動脈)の3ヶ所があります。
治療
冠動脈疾患の治療は大きく分けて、1)薬物療法 2)カテーテル治療 3)冠動脈バイパス手術があります。
カテーテルによる経皮的冠動脈形成術(PCI)
局所麻酔を行い穿刺部位からシースを挿入しカテーテルを血管に挿入します。
冠動脈の入り口にカテーテルを挿入し細いガイドワイヤーを狭窄や閉塞した部位に通過させバルーンを進めて拡張しステントを挿入します。特殊な方法としてロータブレーターで石灰化を削ったり、レーザーで血栓などを蒸散させたりすることもあります。
■高速回転アテレクトミー(ロータブレーター)
ロータブレーターとは、経皮的冠動脈形成術のひとつで、高速回転式経皮経管アテレクトミーカテーテルのことを言います。日本では1998年4月に保険適用が可能となり、国内で使用されています。歯科の際に使う電動ドリルとよく似たイメージです。
ロータブレーターによる治療は通常の経皮的冠動脈形成術(バルーン拡張など)では治療が困難とされている高度石灰化病変に対して行われる治療方法です。この治療法が許可されている病院は限られており、厚生労働省が定める施設基準を取得している病院のみが使用できる特殊な治療器具です。
ロータブレーターはBurrと呼ばれるミクロダイヤモンドが埋め込まれたドリルが毎分14-22万回転で高速回転し、硬くなった動脈硬化巣を削っていきます。ロータブレーターには選択的切除テクノロジー(Differential Cutting)を採用しておりますので、血管内の硬くなった病巣部のみを削り、柔らかい部分を削らない仕組みになっていますので、健常な柔らかい血管には損傷を与える可能性は低くなっています。
ロータブレーターによる治療は一般的な経皮的冠動脈形成術(バルーン治療・STENT治療)と同様に、皮膚から細いチューブ(管)を心臓を動かす冠動脈に挿入して行います。
全身麻酔は不要で、まずその管を通じてカテーテルを冠動脈まで進めた後、細いピアノ線のようなワイヤーをカテーテルの中に入れ、治療する病巣を通過させます。次にドリルをワイヤーに添って進ませます。ワイヤーがレールのようにドリルの進む方向を一定にしますので、ドリルがぶれて血管の壁を傷つけたり、破ったりリスクは少なくなります。ドリルは窒素ガスボンベを使った専用のタービンにより高速で回転し、冠動脈の中の硬い動脈硬化の部分を削りながら、前進・後退を繰り返します。
■エキシマレーザー冠動脈形成術:ELCA(Excimer laser coronary angioplasty)
この治療は冠動脈に挿入されたカテーテルの先端からエキシマレーザーを照射することで、プラークや血栓を蒸散させ冠動脈内の狭窄や閉塞の治療を行うもので、高度先進医療のひとつであり、ごく限られた施設のみで使用されているものです。エキシマレーザーが照射されると、分子結合が直接切断され分解し、病変組織を蒸散されます。局所的な熱産生が発生しないため、生体組織に熱損傷を起こさず、安全性の高い治療であると言えます。
対象としては通常の冠動脈治療が困難、もしくは有効でない急性心筋梗塞、ステント内再狭窄、慢性完全閉塞などであり、この有効かつ安全性の高いエキシマレーザーを活用することで治療の選択肢がより広がり、あらゆる病変でのよりよい成績が期待されるものと考えています。
2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | |
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PCI全体 | 485 | 474 | 557 | 525 | 539 | 469 |
ローターブレーター | 13 | 27 | 30 | 21 | 16 | 13 |
エキシマレーザー | - | 11 | 37 | 32 | 29 | 49 |
B.不整脈
アブレーション
心臓は、筋肉でできた袋状のポンプで全身に血液を送るための臓器です。電気信号が流れてくると筋肉が収縮し心臓から血液が送り出されます。心臓がポンプとして働くために秩序だった伝達システム(刺激伝導系)が存在します。
正常心では、右心房の上にある洞結節から電気刺激が発生し心臓全体に伝わり、安静時には1分間に60-70回、走ったりすると130-150回心臓が収縮します。この電気は、まず心房を流れ、次に心室に伝わります。心房と心室は房室結節という組織で結ばれており、正常では唯一の電気の流れ道となっています。
心臓の異常なリズムを不整脈といいます。不整脈を生じると、動悸・息切れ、失神や心不全の合併、なかには突然死を生ずるものもあります。
不整脈には、大きく分けると、脈が遅くなるもの(徐脈性不整脈)、脈が速くなるもの(頻脈性不整脈)と脈が飛ぶもの(期外収縮)があります。
徐脈性不整脈について
明らかな理由がなく徐脈を生じた場合は刺激伝導系に異常があるためであり、しばしばペースメーカー植え込みの適応となります。脈拍数は60bpm(50bpm)以下のものをいいます。症状は、全身倦怠感・脱力感・めまい・ふらつき・失神・息切れなどです。
徐脈性不整脈の治療法は、現在のところ永久式ペースメーカー植え込みのみです。
②突然死の予防
③心機能低下・心不全の予防や改善
を目的としております。
頻脈性不整脈について
頻拍症には大きく分けると、心房を起源にする上室性頻拍と呼ばれるものと、心室を起源にする心室性頻拍があり、上記のとおりです。体表面12誘導心電図では完全に診断することは困難で、心臓の中に直接電極カテーテルを挿入して心臓の電気の流れを調べる検査(心臓電気生理学的検査)を行い診断し、
②特定の回路を旋回するもの(reentry)
のいずれかを診断し、治療に役立てます。
治療は、高周波通電をエネルギー源にする高周波カテーテルアブレーションと呼ばれる治療を行います。カテーテル先端の電極を500Hz前後の周波数の高周波を通電し、カテーテル先端の温度を50~70度くらいまで上昇させ、心筋組織を凝固壊死させることで目的となる組織を焼灼します。
■WPW症候群
正常な人では、心房と心室を結ぶ刺激伝導系は1本のみ(正常伝導路)ですが、WPW症候群の人では先天的に余分な電線(副伝導路、主にはケント束)が存在します。
電気信号が、正常伝導路と副伝導路の間を旋回(リエントリー)することで頻拍を起こします。また、心房細動という不整脈を合併した際には、脈拍が200回/分以上となり突然死の原因になることもあります。治療は、副伝導路の焼灼です。
■房室結節リエントリー性頻拍
房室結節内に伝導性の違う2本以上の電線(速伝導路と遅伝導路)が存在します。ほとんどの人でこの伝導は存在しますが、一部の方で速伝導路と遅伝導路の間で電気がぐるぐる回り頻脈を生じます。治療は、遅伝導路の焼灼です。
■心房頻拍
心房に異常な興奮性を有する心筋細胞が存在し、これが洞結節を上回る頻度で心臓を興奮させることにより頻拍を生じます。重症な方では数ヶ月以上頻拍が持続し、心機能が低下する人もいます。治療は、異常興奮部位の焼灼です。
■心房粗動
右心房もしくは左心房の中に大きく旋回する(リエントリー性の)回路が存在します。心房粗動の多くは通常型と呼ばれるもので、右心房と右心室の間にある三尖弁の回りを旋回しています。しばしば心房細動を合併しています。後述する心房細動と同等の心原性塞栓症(脳塞栓症など)を起こすリスクがあります。治療は三尖弁輪と下大静脈の間に線状焼灼を加えます。心臓外科術後などの非通常型のものも、三次元マッピングシステムの進化により、根治可能となっています。
■心房細動
心房細動とは、心臓の中の心房と呼ばれる部分が1分間に300~600回という速さにまでなり、不規則にかつ極めて高頻度に興奮している状態です。発生頻度は、一般に50歳代では1%未満、70~80歳以上の高齢者においては5~10%程度に認められます。心房細動が起こると、心房の電気の伝わり方が無秩序になります。その結果、心房はけいれんしたような状態となります。このような状態では、心房内、特に左心房内に血の塊(血栓)を生じる可能性があります。この血栓が飛ぶと、脳梗塞で代表される塞栓症をきたします。また、頻脈性心房細動や心房の収縮の消失で心不全をきたすことがあります。
一般人口において極めて罹患率が高く、特に60歳を過ぎると著しく増加の一途をたどります。これには、心房筋の線維化などの関与が証明されてきています。米国では約220万人、本邦でも100万人の患者が存在すると推定されます。
臨床的には、発作性心房細動にはじまった患者は、徐々にその頻度を増し、薬剤も最初の内は効いていても次第に効かなくなり、心房細動の持続時間が長くなり、また、様々な薬剤をもってしても効果がなく、ついには慢性化する、ということをしばしば経験します。慢性化した場合、徐々に心房の筋肉は変性していき、やがて心房は大きくなり、動くと苦しいなどの症状が出現するようになります。 心房細動の治療としては、高血圧や虚血性心疾患の治療に加え、抗凝固療法や抗不整脈薬の投与などの薬物治療にはじまり、外科的手術、現在はカテーテルアブレーションによる治療も可能となっています。
まず、心原性塞栓症の予防としては多くの場合、抗凝固療法の服用を必要とします。特に心原性塞栓症の既往のある人、高血圧症、糖尿病、高齢者、心不全患者などに心原性塞栓症の頻度は多いことが分かっています。また、抗血小板薬(バイアスピリン、プラビックス、パナルジンなど)は、心房細動による心原性塞栓症の予防にはならないことが分かっています。心房細動に対する抗凝固療法は、心原性塞栓症のリスクは約1/3に改善しますが、完全に脳梗塞を予防できるわけではありません。また、出血性合併症も存在します。
現在使用できる抗不整脈薬は多数ありますが、それぞれ特徴があります。その方々の背景に合わせて処方するものです。大切なことは、発作が出たからといって普段飲んでいる抗不整脈薬を追加で飲まないことです。重篤な不整脈を惹起することがあります。また、内服の治療に限界があるのも知っておくべきと考えます。
心房細動は、最近、Thoracic Vein Arrhythmiasと呼ばれているように、心臓の静脈の異常興奮が原因となっていることがわかってきています。その90%が肺静脈起源とも言われています。薬剤抵抗性の心房細動の方や症状の強い方に対しては、将来の心機能低下を防ぐ目的と、心原性塞栓症の予防の目的でカテーテルアブレーションを行っています。カテーテルアブレーションにて肺静脈と左房間の心房筋の伝導を絶つこと(電気的肺静脈隔離)で心房細動の発症を防ぐことができます。
対象となる患者様は、薬剤抵抗性の心房細動の方です。肺静脈は多くの方は左右2本ずつあり、そのすべてに対して電気的隔離術を施行すること、また、右房から左房内へカテーテルを挿入するために、心房中隔穿刺を施行しなくてはいけないことなどより、手技時間は発作性の方で2-3時間程度、慢性の方では3-5時間と長くなります。成功率に関しては発作性の方ではおおむね90%程度、慢性化している方は持続時間・左心房の大きさにもよりますが、おおむね80%程度です。したがって複数回の手技を要することもあります。
ただ、術後心房細動が再発した症例においても、術前に無効であった抗不整脈剤が有効となることが多くなるため、仮に再発しても、薬剤の併用により心房細動の発症は抑えることができることが多いのです。しかしながら、10年後の成績に関しては現在のところ不明です。
20年前にはカテーテルでは治らないとされていた心房細動もアブレーションでの治療が十分に可能となっております。
■心室頻拍
心室頻拍には、2種類のタイプがあります。①心室に異常な興奮性を有する心筋細胞が存在して心臓を興奮させることにより頻拍を生ずる場合(Focal)と、②心筋梗塞後などの障害心筋の周りを興奮が旋回して頻拍を生じる場合(reentry)です。致死的な不整脈である心室粗細動に移行したり、心機能が低下したりすることがあります。治療は、異常興奮部位の焼灼、もしくはリエントリー回路の離断です。
■心室細動
心室細動が起こると心室は秩序なく興奮し、心臓が震えてしまいます。血液は送り出されず、たちまち体内の酸素が欠乏します。心室細動になると通常、数秒以内に意識を失います。このような状況では致死的であり、心停止と呼ばれています。
心房細動と言葉は似ていますが、心房はサブポンプであり血圧にさほど影響を与えないのに対し、心室はメインポンプであるため症状は全く異なり、危険度が増すことになります。
多くの場合は、植込型除細動器(ICD=implantable cardioverter defibrillator)埋め込みの適応になります。
期外収縮について
期外収縮は、主には脈が飛んだり、結滞したりします。多くの場合は問題ないのですが、何か心臓の病気が隠れていることもあります。また、外収縮を頻回に認めている患者さんの一部では、心臓の機能が低下してくることがあります。このような症状が出現した場合には、一度心臓の検査を受けることをお勧めいたします。
2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | |
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カテーテルアブレーション | 47 | 54 | 68 | 163 | 215 | 257 |
心房細動 | 11 | 18 | 36 | 102 | 134 | 183 |
ペースメーカー ICD CRT
2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | |
---|---|---|---|---|---|---|
ペースメーカー植え込み | 44 | 44 | 41 | 57 | 67 | 69 |
ペースメーカー交換 | - | 15 | 13 | 9 | 13 | 4 |
ICD植え込み | 7 | 4 | 6 | 6 | 9 | 9 |
CRT | 5 | 16 | 6 | 11 | 7 | 9 |
C.閉塞性下肢動脈硬化症
下肢閉塞性動脈硬化症
1.疾患概念
下肢閉塞性動脈硬化症は、その名のとおり、下肢動脈の動脈硬化から狭窄や閉塞を起こし症状をきたす疾患です。
動脈硬化は下肢動脈に限らず全身の動脈に起こり、全身の動脈の狭窄や閉塞をきたします。全身の動脈硬化により様々な症状をきたす疾患を末梢動脈疾患と呼びます。その中でも下肢動脈に動脈硬化が起こることが多く、下肢動脈を中心に動脈硬化をきたした場合を下肢閉塞性動脈硬化症と呼びます。
2.症状
歩行時に症状が出現することが典型的で“間歇性跛行”と呼ばれます。難しい名前ですが、一定の距離を歩くたびに(間歇性)、足を引きずって歩く(跛行)、という意味です。運動により、狭窄した動脈より末梢の組織に十分な血液を供給することができなくなり症状が出現し、一定距離歩いたのちにふくらはぎの疲れ、だるさ、痛みなどの症状が出現し、安静により症状が改善します。
また、歳のせいか歩けなくなった、疲れやすく歩けなくなったなど、典型的な症状でなくても閉塞性動脈硬化症が隠れている場合があります。
3.危険因子
喫煙、糖尿病、高血圧、脂質異常症があると病状が進行しやすくなります。
4.検査
■足関節上腕血圧比(ABI)
ABIは、足関節の収縮期血圧を上腕の収縮期血圧で割った値です。この値が低いと下肢動脈の狭窄や閉塞が示唆され、閉塞性動脈硬化症が起きている可能性があります。
■血管エコー検査
心臓や腹部に施行するエコー検査と同様に、超音波を当てて動脈の状態を調べるため低侵襲に施行することのできる検査です。カラードプラ法を併用することにより、より細かく血流の情報を得ることができます。
■CTアンギオグラフィ
造影剤を用いて血管を描出することにより、広範囲にわたり血管の状態を評価することができます。しかし、造影剤アレルギーの方、腎機能障害のある方には施行できない場合があります。
■MRアンギオグラフィ
造影剤を用いずに血管を描出することができるため、造影剤を用いたCTアンギオグラフィが施行できない方にも施行することができます。ただし、強い磁場を用いるため、ペースメーカーを埋め込んだ方や、人工内耳を埋め込んだ方は施行できない場合があります。
■動脈造影検査など
カテーテルを用いて下肢動脈に直接造影剤を注入することにより、下肢動脈の性状、血流を詳細に評価することのできる検査です。
動脈にカテーテルを挿入するため、検査後の安静が必要になります。そのため、当院では1-2泊で動脈造影検査を施行しています。
5.治療
禁煙・薬物療法・運動療法・血行再建術(カテーテル治療、バイパス術)
当院では、上記治療法の中で患者様の状態に適した方法を選んで治療を進めていきます。軽症であれば薬物療法や運動療法のみで経過観察が可能ですが、症状の強い方には血行再建術を検討します。
血行再建術とは血行を良くする目的で治療するもので、カテーテル治療とバイパス手術があります。
カテーテル治療は狭くなったり詰まってしまった血管内を、直接風船でふくらませたり、ステント(金属でできた網状の筒)を留置することにより、再度血流を再開させる方法です。
バイパス手術は、狭くなったり詰まってしまった血管に対して、体の他の部分からとった血管や、人工血管を用いてバイパスとして取り付けることにより血流を改善させる方法です。
D)高血圧症 腎動脈狭窄症
高血圧は、症状がないことがほとんどですが、放っておくと動脈硬化を起こし、やがて脳卒中や心筋梗塞などの病気を引き起こすため、きちんとした治療が必要です。原因としては、食生活の乱れや運動不足などの生活習慣の問題がある方が多いですが、他にも腎臓や副腎、甲状腺などといった様々な臓器の異常に伴うことも少なくありません。これらの場合には、原因に応じた治療を行わないと、多くの高血圧の薬を飲んでいただいてもしっかりと血圧が下がらなかったり、腎臓などの機能が著しく低下してしまったりすることがあります。
ここでは、高血圧の原因の一つである腎血管性高血圧症(腎動脈狭窄症)についてご紹介いたします。
腎動脈狭窄症とは?
腎動脈は、左右両方の腎臓に血液を供給している血管ですが、加齢と動脈硬化症により狭くなりやすい血管の一つです。
腎動脈が狭くなってきた場合、初期のうちは全く症状がありませんが、進行すると血圧が上昇してくるなどの症状が出ることがあります。血管がさらに狭くなると腎臓にいく血流が不足し、腎機能が悪化し、最終的には血液透析が必要となることもあります。細くなってしまったら早い段階で発見し、適切な治療をすることが必要です。
腎臓の動脈が狭くなる主な原因として、様々なタイプがあり、腎動脈が細くなる原因の90%以上は加齢に伴う動脈硬化ですが、比較的若年者に見られる動脈硬化によらないものもあり、決して高齢者だけの病気ではありません。
腎動脈狭窄症の検査
腎動脈狭窄症の検査の方法としては、まずは腎動脈エコーがあります。この検査は体に負担をかけずに行うことができます。腎動脈が狭くなると、血流速度が上昇してくるため、腎動脈狭窄症の有無の評価だけでなく、以前と比べて狭くなっているかどうかの評価にも用いることができます。
さらに、腎動脈狭窄症を疑う場合には、続いて造影CT検査やMRI検査、腎動脈造影検査などの検査を行っていきます。
CT検査は狭窄を正確にとらえるために有用な検査ですが、検査に必要な造影剤は腎臓に負担になることもあるため、腎臓の機能が既に低下してしまっている方にはあまり向いていません。当院においては、そのような患者様に対し、MRI検査で造影剤を使用せずに検査するなど、患者様のお身体の状態に合わせて評価を行っています。
腎動脈狭窄症の治療
足の付け根にある大腿動脈、もしくは肘の内側の上腕動脈からカテーテルを挿入し、腎動脈に対し血管内治療(経皮的腎動脈形成術;PTRA)を行います。
血管内超音波で狭窄の程度を測定したり、血管内の圧力を測定したりして、治療の必要性を判断します。治療の必要があれば風船で拡張し、引き続き多くの場合にはステントを留置することになります。若い人に多い線維筋性異形成症の場合は、ステントを使わない風船治療だけで有効なことが多いため、病状に合わせてステントが必要か判断しています。治療は局所麻酔で、約1時間程度で行うことができます。
腎動脈の狭窄が高度であっても全ての患者様の腎動脈を治療するわけではなく、現在の血圧の状態や、狭心症をはじめとした他の動脈硬化性疾患の有無、腎機能の状態、腎臓の大きさなどの様々な条件を配慮し、治療の適応を決定しております。
E)肺塞栓 下肢静脈血栓症
2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | |
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下大静脈フィルター | 26 | 30 | 17 | 21 | 6 | 9 |
F)心臓リハビリテーション
心筋梗塞は急性期のカテーテル治療後から早期に第一期(急性期)のリハビリを開始します。
主に、歩行による運動療法を安全な範囲で開始し、徐々に活動量を増やします。
続いて第二期(回復期)には心肺運動負荷試験(CPX)検査を行い、安全な運動量を処方しリハビリ室で自転車エルゴメーターやトレッドミルでの運動療法を行います。
続いて第三期(維持期)では生涯にわたり運動習慣を身につけ、生活習慣病を改善するようにします。