診療科・部門
Medical Service

放射線科

Radiation Therapy

放射線治療

がんの放射線治療

放射線治療は、手術、薬物療法と並ぶがんの3大治療の一つです。放射線治療の特徴として以下の3つが挙げられます。

機能温存臓器を切除しないで病気を治すことを目標とする

形態温存皮膚の状態や臓器の形・大きさをなるべく保って病気を治すことを心がける

低侵襲高齢者や体力のない患者さまでも治療可能であり、多くの場合は外来通院でも治療できる

放射線治療センター(E館1階)

放射線治療センターは、放射線治療と緩和ケアを集約したがん治療施設として2020年にオープンしました。地域がん診療連携拠点病院として、埼玉県内および周辺地域のがん医療を担っています。
基本的にスタッフや放射線治療を受ける方以外の出入りはございませんので、静かで落ち着いた環境の中で治療をお受けいただけます。

放射線治療センター外観

放射線治療センター外観

入口

放射線治療センター入口

通路

放射線治療センター通路

待合室

放射線治療センター待合室

当院の高精度放射線治療

患者さま一人ひとりに合わせた、高精度な放射線治療を実現

放射線治療センターでは、体への負担や副作用を最小限に抑える高精度放射線治療を行っています。
照射には、次世代の高精度放射線治療システム「TrueBeam」を採用し、患者さま個々の症例に合わせたピンポイント照射を実現。国公立がんセンターや大学病院と同等の高精度放射線治療を提供しています。

TrueBeam

放射線治療システムTrueBeam

治療の様子

高精度放射線治療システムTrueBeamによる治療の様子

主な適応疾患

頭頸部がん食道がん肺がん
縦隔腫瘍(定位照射以外)乳がん肝臓がん
胆嚢がん膵臓がん胃がん
小腸がん大腸がん(直腸がん、結腸がん)肛門管がん
子宮頸がん、その他の婦人科がん前立腺がん、泌尿器がん悪性リンパ腫
骨転移脳転移
放射線科の治療実績を見る
  • 子宮頸がんの放射線治療については東京医科大学病院と連携し、腔内照射を併用した標準治療を行っています。

  • 機能を温存し腫瘍の治癒をめざす根治照射だけでなく、痛みや症状の緩和を目的とした姑息照射にも力を入れています。

  • 骨転移のある去勢抵抗性前立腺がんに対しては、ゾーフィゴ(塩化ラジウム: 223Ra)による内用療法も可能です。

  • 形成外科と連携し、ケロイドに対する治療も行っています。

高精度放射線治療システム TrueBeam

身体への負担や副作用を最小限に抑える

腫瘍の治癒率向上腫瘍に的確にアプローチできるため、腫瘍制御率の向上が期待できます
合併症の
リスク軽減
周辺の正常組織への影響を軽減でき、合併症のリスクを減らせます
マーカーレス治療皮膚へのマーキングは(体に印を描く)必要ありません

悪性腫瘍に対して必要な照射をより正確に~TrueBeamの特徴


腫瘍の形に合わせて放射線量を調節する
強度変調放射線治療(IMRT)・回転IMRT(VMAT)

IMRTは、従来均一であった放射線量を、腫瘍の形に合わせて強弱を調整し照射する治療法です。複雑な形の腫瘍や正常組織と隣接している場合に有用です。
VMATは、さらに回転させながら照射することで治療時間を短縮できます。

▪主な対象疾患:前立腺がん、頭頸部がん等

腫瘍の形に合わせて放射線量を調節する強度変調放射線治療(IMRT)・回転IMRT(VMAT)
小さな腫瘍に多方面からピンポイントに集中照射
定位放射線照射(STI)

体内の比較的小さな腫瘍に、多方向から同時にミリ単位の精度で放射線を定位(ピンポイント)照射します。
胸腹部のがんや脳腫瘍の治療に適しています。

小さな腫瘍に多方面からピンポイントに集中照射 定位放射線照射(STI)
定位放射線照射(STI)
[体幹部]定位放射線治療(SBRT)[脳]定位放射線治療(SRS/SRT)
特 長呼吸など体の動きにも対応し、正確な位置でピンポイント照射1回照射の「定位放射線手術(SRS)」と数回照射の「定位放射線治療(SRT)」が可能
対 象▪5cm以下の肺や肝臓の腫瘍▪3cm以内の原発性・転移性脳腫瘍
多発脳転移に対する定位放射線治療

複数への照射部位に対して、同時に正確な照射「HyperArc」が可能です。従来は多発脳転移の一つ一つに対して行っていた照射が、複数個病巣のすべてを同時にピンポイント照射することが可能となり、治療時間を大幅に短縮することができます。

▪主な対象疾患:多発脳転移等

HyperArcイメージ

HyperArcイメージ

多発脳転移に対する定位放射線治療(HyperArc)

放射線治療の流れ


▼ 1. 放射線治療外来の診察

これまでの経過をもとに放射線治療医の診察によって治療方針を決定し、治療内容、治療期間などを詳しくご説明します。

診察後は看護師が面談を行い、注意事項などの詳細をお伝えします。

放射線治療外来の診察

▼ 2. 治療計画用CT撮影

治療時の体勢を決定します。治療中は動かないようにするため、できるだけ楽な姿勢で臨めるよう心がけています。

※治療部位によっては固定具を作成する場合もございます。
※治療途中で照射範囲を縮小するなど変更する場合は、再度CT撮影を行います。

治療計画用CT撮影


▼ 3. 放射線治療計画の立案(コンピュータによるシミュレーション)

治療計画用CT画像をもとに、放射線の種類、範囲、量などを細かく設定します。放射線を病変部に集中させ、周囲の臓器に極力当たらないよう調整し、最適な照射方法を検討します。

放射線治療計画の立案(コンピュータによるシミュレーション)
■初診から治療開始までに要する日数
  • 通常照射…3~4日
  • 高精度放射線治療…1~2週間

▼ 4. 放射線治療(放射線の照射)

治療は予約制で月~金の週5日(土日祝除く)連続して行います。治療室に入室後、照射位置の確認のため撮影を行い、治療が始まります。実際の照射時間は数分程度、入室から退室までは一般的に15分程度です(ただし、治療内容によっては30分を超える場合もございます)。

照射に伴う痛みや熱感はまったくありません。照射中は室内に患者さま一人となりますが、複数のモニターで医療スタッフが常に見守っていますので、ご安心ください。

高精度放射線治療システムTrueBeamによる治療の様子

※放射線治療期間中は、放射線治療医が定期的に診察いたします。体の症状で何か変化を感じた場合や不明点等ございましたら、いつでも医療スタッフにご相談ください。

▼ 5. 放射線治療終了後

すべての放射線治療が終了しましたら、担当診療科で今後の治療と経過観察を行っていただきます。

※放射線による根治治療を受けた方で、放射線治療終了後も放射線治療医による定期診察が必要となる場合もございます。

放射線治療にかかる費用の目安

放射線治療は基本的に健康保険が適用されます。下表はおおよその目安です。費用は治療内容(照射回数・照射方法など)、年齢、所得、健康保険制度によって異なります。

※自己負担額は外来・3割負担の場合となります。
※費用につきましては、高額療養費制度をご利用いただけます。

病名治療法回数自己負担
(外来・3割)
乳がん通常照射25~30回18~21万円
骨転移など通常照射10回4~9万円
前立腺がん強度変調放射線治療(IMRT)39回約45万円
肺がん体幹部定位放射線治療(SBRT)5回約21万円

受診について

初診の方へ

現在治療を行っている医療機関の主治医(かかりつけ医)を通じて事前のご予約が必要となります。
※患者さまが直接予約することはできませんので、まずは主治医(かかりつけ医)にご相談ください。

医療機関の方へ(患者さまのご紹介・ご相談など)

【初診予約】

❶放射線治療センターにてご予約を承ります。事前にお電話でご予約ください。
放射線治療センターTEL.0570-01-1114(ガイダンス⑥番)
電話受付/平日8:30~17:00、土曜8:30~13:00※休診日除く
※電話交換手に「放射線治療センター」につなぐようお伝えください。
❷紹介状を「地域医療連携課」にFAXでお送りください。
 ※原本は初診日に患者さま自身がご持参ください。
地域医療連携課FAX.048-445-3133(直通)
TEL.048-442-1431(直通)
▪放射線治療設備を持たない医療機関からのご紹介やご相談
▪通院の都合などで当院での放射線治療を希望される患者さまの受け入れ
等も積極的に対応しています。

【放射線治療の適用・入院等のご相談】

放射線治療専門医が対応いたします。放射線治療を目的とする入院も承ります。
放射線科医TEL.070-1593-0363(直通)
電話受付/平日8:30~17:00、土曜8:30~13:00※休診日除く

当科の治療実績(件数)

2020年度2021年度2022年度2023年度
頭頸部がん1517105
食道がん14141411
肺がん・縦隔腫瘍(定位照射以外)2626369
乳がん40464750
肝臓・胆嚢・膵臓がん4220
胃・小腸・大腸・直腸・肛門管がん121684
子宮頸がん010127
その他の婦人科がん1051
前立腺がん18392124
泌尿器がん(前立腺がん除く)6994
悪性リンパ腫381219
骨転移43534944
脳転移10212425
その他9121912
合計201273268215

放射線治療医師一覧

当院では常勤の放射線治療専門医がおり、高精度放射線治療の受け入れが可能です。
佐谷 健一郎 (さたに けんいちろう)
役職 治療部長
出身大学 1997年 東京医科大学卒
2002年 東京医科大学医学部大学院修了
認定医等 日本医学放射線学会放射線治療専門医・放射線科研修指導者
日本放射線腫瘍学会放射線治療専門医
日本心療内科学会登録医
日本心身医学会認定心身医療「放射線科」専門医
兼坂 直人 (かねさか なおと)
専門領域 放射線治療全般、強度変調放射線治療(IMRT)、定位放射線治療
出身大学 1982年 東京医科大学卒
1988年 東京医科大学大学院修了
認定医等 東京医科大学放射線科兼任講師
日本放射線腫瘍学会放射線治療専門医
日本医学放射線学会放射線治療専門医・放射線科研修指導者
日本医学放射線学会及び日本専門医機構認定放射線科専門医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医

放射線治療における第三者機関による出力線量測定評価について

  • 当院では定期的な精度管理を実施しており、放射線治療における品質を担保しています。
  • 第三者機関である公益財団法人医用原子力技術研究振興財団が実施している出力線量の評価を受け、一定の線量精度を満たしていることが証明されています。
お問い合わせ先
0570-01-1114