病気・疾患

先天性胆道拡張症

膵・胆管合流異常と先天性胆道拡張症

膵・胆管合流異常とは

膵臓で作られる膵液と肝臓で作られる胆汁は、それぞれ膵液が流れる膵管と胆汁が流れる胆管を通って十二指腸に排出され、口から摂取された食事を消化する役割を担っています。
通常、膵管と胆管の合流部には括約筋があり、膵液や胆汁が逆流しないように調節されています(図1)。

「膵・胆管合流異常」は、膵管と胆管の合流部が通常より手前で合流している状態であり、先天性の形成異常です(図2)。

先天性胆道拡張症とは

膵・胆管合流異常に胆道が拡張した状態を「先天性胆道拡張症」といいます(図3)。

膵・胆管合流異常に伴う先天性胆道拡張症は、括約筋がないところで合流するため、膵液が胆管や胆のうに逆流し、胆管炎、胆石形成、胆道がんなどを発症するリスクが高くなります。また、胆汁が膵管に逆流し、膵炎を起こすこともあります。このため、膵液の流れと胆汁の流れを分ける手術が必要となります。

症状

主な症状は、

  • 腹痛
  • 嘔吐
  • 発熱
  • 黄疸
  • 灰白色便
  • 腹部のしこり(腹部腫瘤)

などですが、無症状のことも多いです。

検査と診断

先天性胆道拡張症では、肝外胆管を切除し胆道の再建(先天性胆道拡張症手術)を行います。胆管を切除する際に胆管の狭い部分を残しておくと、胆管炎や肝内結石、将来的にがんの発生が起こる場合があるため、手術前に胆管の形や狭窄がないかを詳しく調べたうえで手術を行います。

検査方法としては、MRIによる胆管の検査や胆管造影を用いたCT(DIC-CT)、内視鏡検査(ERCPやEUSなど)を行います。これらの検査を通じて胆管の状態を確認し、どのような手術が適切か術前シミュレーションを行い手術方針を決定します。

治療

先天性胆道拡張症手術

根本的な治療は手術です。拡張した胆管と胆のうを切除して、肝臓側の胆管と小腸(空腸)を吻合し、膵液と胆汁が別々のルートで腸に流れるようにする「先天性胆道拡張症手術」が推奨されています。
従来は開腹手術が一般的でしたが、最近では低侵襲な(身体への負担が少ない)腹腔鏡やロボット支援による手術が増えています。

戸田中央総合病院のロボット支援手術(腹腔鏡下手術)
 東京医科大学病院と連携し、高度な医療を提供

拡張した胆管の切除は繊細な手技を必要とするため、胆管と空腸の吻合は難しい位置での運針・縫合が求められます。ロボット支援手術は、あらゆる角度からの視野と多関節機能を有する鉗子の繊細な動きで、腹腔鏡では難しい難易度の高い手術を正確に行うことができます。

戸田中央総合病院では、先天性胆管拡張症に対して「ダビンチサージカルシステム(以下、ダビンチ)」(米国Intuitive Surgical社)を用いたロボット支援手術を行っており、東京医科大学病院と連携し、肝胆膵外科高度技能専門医および関連学会が推奨する「ダビンチ」のトレーニングを受けた医師が手術にあたります。

手術支援ロボットによる胆管拡張症手術(ロボット支援下総胆管拡張症手術)は20224月より健康保険適用となりましたが、さまざまな条件により適用できる医療機関は限られています。当院では、それらの条件をクリアし、2023年8月より健康保険適用での手術を開始しました。

また、先天性胆道拡張症は女性に多い疾患ですが、開腹をしないため手術の傷跡も目立たず、整容性にも優れています。「ダビンチ」について、さらに知りたい方は下記をご覧ください。
戸田中央総合病院のロボット支援手術「ダビンチ」のご紹介

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